法学部卒業なのに裁判に行ったことがなかったんです。私は国際法専攻だったので日本の法律はさらっとしかやっておりませんでした。
何となく裁判を傍聴してみたいと思い立ち、余暇を利用して友人と裁判所へ向かいました。
冬の快晴。日比谷公園から臨む空は真っ青でした。
入り口を入る際にX線での荷物検査があり、私は少し早くきたので法廷の場所を調べに行きました。
今はタッチパネル端末があり、そこで検索します。
高裁か地裁、刑事事件か民事事件、事件番号などから確か検索できました。昔は一覧を紙で貼っていたのだと思いますが、かなりの件数でした。
画面には法廷番号、時間、被告人の氏名、事件番号が表示されます。
偽名で詐欺行為を行なっていたら、被告人の氏名は○○○○こと××××と書かれます。
この端末に表示される情報は書き写しはOKですが、写真を撮ることはNGです。
熱心な裁判ウォッチャーの方が端末を見ながら書き写しをしていました。
1件目:特殊詐欺の実行犯に対する判決
前の裁判も「詐欺罪」です。着席ししばらくすると、憔悴した表情の若い女性が弁護士と共に入廷しました。
彼女は被告人で今回は判決です。
特殊詐欺を行い高齢者から数百万騙し取ったとのこと。
何らかの理由で金銭的に困窮し、SNSを通してアルバイトに応募したら特殊詐欺の実行犯になってしまったという、昨今問題になっている犯罪でした。
懲役2年9ヶ月。執行猶予はなし。金銭は返還せよとの判決。
父親からの情状酌量があり、少し刑が短くなったという旨が裁判長から伝えられました。
情状酌量があったということは、単に被告人がホストに貢いだ、ロマンス詐欺にひっかかったというわけではなさそうです。
ただの憶測にすぎませんが、親が病気で治療で多額の金銭が必要になった等のやむに止まれぬ事情がありそうです。
被告人の女性は表情を変えることなく無表情のままでした。
お金がない時に限って甘い話に乗ってしまうのは誰でも起こりうることだと思います。
しかし困っているときは怪しい話に対する危険センサーが働かなくなりがちです。
そこにつけ込む特殊詐欺の首謀者たちは本当に卑劣そのものだと感じました。
2件目:コロナ休業支援金の不正受給の第2審
コロナ禍の休業支援金について、存在しない従業員に対して申請し受給したという件。
証拠の受理が行われました。
弁護人が「検察官の仕事が遅く、不当に被告人が拘束されている。捜査を早めてほしい。」との抗議があがりました。
被告人は手錠をされ、警察官に挟まれて入廷したので現在留置所にいるものと思われます。
弁護人の抗議に対して裁判長もその事実を認めた上で、「次回裁判日程を早めに」との提案がありました。
裁判長が被告人に何かを問いかけたときに被告人が「大丈夫です。」と返答しました。
裁判長がすかさず「大丈夫とは?」と聞き返しました。
質問は、はい又はいいえで回答できる類のものでしたが曖昧な回答に対してはすかさず突っ込みが入ります。
起訴内容を聞いていたら、被告人が企業に休業支援金申請の代行を行い、不正な条件であるに関わらず労働局の人間を騙し受給をさせ、その見返りとして15%ほどの金銭を得ていたと言います。
この被告人が悪いのはもちろんですが、会社側が受け取った被告人へのキックバックを差し引いた金銭の行方が気になりました。
また1件ではなく複数件あるようなので、勝手な想像ですが組織犯罪の可能性はないのでしょうか。本当にこの被告人一人でやったのか疑問です。