2020年以来、実に4年ぶり。パリ・オペラ座バレエ団がの来日公演です。
今回は「白鳥の湖」と「マノン」。
そして初日「白鳥の湖」はエトワールとなって初めて日本でオデット、オディールを踊るオニール八菜さん。
大入りの幕が入り口にかかっていました。
そしてシャネルマークのプラカードを持ってお客様を待つスタッフが…メゾンの顧客向けにご招待でもあったのでしょうか。大勢の観客でロビーはごった返していました。
さて私は久しぶりのパリ・オペラ座バレエ団のヌレエフ版「白鳥の湖」。アニエス・ルテステュ以降、生で見ていません。
冒頭のロットバルトが姫を攫って鳥にして攫っていく様を夢で見る王子のシーンなどいくつか覚えていないところも多く、帰宅して再度確認しました。
王子のジェルマン・ルーヴェは誕生日でまもなく妻選びをする身。王宮の皆が喜びムードの中、ひとり中柱にもたれかかって物憂げに外を見つめ、浮かないどころか厭世感まで感じさせる非常に空虚で美しい王子。
そしてオニール八菜さんは攫われ鳥に変えられた不運を自分の宿命と半ば諦めながらも、蜘蛛の糸のように細い可能性はまだ信じているようである。
こんな王子とオデットだから”同類相憐む”ではないが、恋しているというよりも悲しみを癒しあっているようにも見えた。
エトワールとして日本で初日を任されたオニールさんはやや硬く、トゥの不安定感もありながらもオディールを踊る頃には華やかに踊り切った。
ジェルマン・ルーヴェも3幕のヴァリエーションで少しだけ不安定な部分もあったが全体的に本当に美しかった。
オニールさんのフェッテはほぼシングルで伝統的なオペラ座のスタイルとは違った。
パリオペラ座のはロンドジャンブが前から真横にきちっと持ってきてからフェッテで巻き込むようなとても難しいフェッテ。
↓こういうの。
オニールさんのフェッテは少しスタイルが違うため、その分少しスピードを上げて回転していました。
そして4幕のラストシーン。ルテステュやギエムで見たものと少し違った。
ロットバルトに担ぎ上げられ、半ば落とされるかのように水に飛び込んで鳥に戻っていくのが、オニールさんの場合はしばらく水を見つめパドブレを踏んで、ロットバルトと王子の戦いを見つめてから飛び込んでいった。
ちょっと信じてたけどやっぱりアカンかったんやろか…ということか?
私はヌレエフ版こそ鬱エンドだと思っておりますが、オニールさんのこのラストはなんとも無情ですね。
今回パドトロワのイネス・マッキントッシュが非常に良かったですね。初めて見ましたが素晴らしかったです。
助走なしのジュッテのジャンプ力としなやかさは目を惹きました。
余談ですが、昨年知人を通じてオニールさんに名入りサインをいただきました。
オニールさん、陰ながら応援してます。