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2022.10.30「ジゼル」新国立劇場バレエ団/柴山紗帆&井澤駿

千秋楽。

ジゼル:柴山紗帆
アルブレヒト:井澤駿

決して器用ではないけど純粋なジゼルとアルブレヒト像。

柴山ジゼルは控えめで物静か。少し緊張した様子も見られた。

井澤アルブレヒトはバチルダとの結婚には全く納得していない様子で、「白鳥の湖」のジークフリートの状況とやや重なる。

そして、輪をかけてジゼルとアルブレヒトが純愛となりやすい要因を考えてみると、今回の新制作版ジゼルでのバチルダのキャラ設定が確実に後押ししている。

このバチルダ姫は、衣装は回りと浮いたピンク色で、あわや林家パー子様かとおぼしきその出で立ち。

おまけに実に気位が高い。

それはジゼルが首飾りをもらった場面にハッキリと表れていて、嬉しくてたまらないジゼルがバチルダ姫の手にキスをしようとしたら、さも汚いもののようにサッと手を引っ込めるんですよね…

貴族らしいとはいえ、これまでのバチルダ姫は結構平民目線で語り合ってくれそうな設定だったのでこれはなかなか。

アルブレヒトはなんとなく結婚に乗り気ではなく、僕の本当に愛する人探しをしてもおかしくないし、気まぐれに可愛らしい子にフラフラした両方どちらもあり。

だからジゼルに惹かれるのが大変自然に感じた。

だから柴山さんと井澤さんは極めて普通の若い恋人として存在していた。

そしてそんな2人にも真実の暴露という悲劇が訪れる。

アルブレヒトが貴族かつ貴族の婚約者がいることを知り、ジゼルはショックで倒れる。

次第にウィリが近づく音が聞こえて、徐々に可視化される。その存在を凝視し目で追いかける。

そしてそれを捕らえようと手を延ばした刹那、この世からあの世に、ウィリの世界に手を引かれるかのように息絶えた。

柴山さんはまさにウィリに魅入られ、選ばれた

井澤さんは一貫してジゼルしか目には入らない一途なアルブレヒト。

精霊でありながらアルブレヒトを守るジゼルととにかく後悔と悲しみしかないアルブレヒトが奏でる2幕が素晴らしかったです。

ジゼルという演目は短くて物足りないなんて誰が言ったのか。

全キャスト行きたかったです。ホント。

  • この記事を書いた人

Satsuki Nosaka(乃坂皐月)

幼少期からバレエを習い、中学生の時に文化庁の日中国交20周年記念の中国公演に参加。大学受験とともにバレエをやめ20キロ太る。 宝塚歌劇はまんべんなく観劇。個人レッスンと中国時代劇でゆるく中国語学習中。先日念願のミニドラマ翻訳を行う。 本業はWeb関連会社の代表。 学生時代からの目標である満員電車に乗らないで生活することを叶え、Web業界でのサラリーマン生活の後、起業。

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