パトリック・デュポン逝去に寄せて

バレエ界のスーパースターだったパトリック・デュポンが61歳で逝去の報。

パリ・オペラ座バレエ団パリ・オペラ座バレエ団最年少エトワールという輝かしい経歴を持ち、「アンファン・テリブル(恐ろしい子供)」と呼ばれるほどの卓越した才能を持ち、舞台を縦横無尽に駆け回る、一挙手一投足が生き生きと光り輝いていた。

フランスでは映画スターと同じくらい国民的スターにまでのし上がり、スーパースターの名を欲しいままにしながらも、オペラ座を辞めてからは病気や事故などのアクシデントにたびたび見舞われた。

「光が射すところに影がある」を地でいくまさしくスーパースターらしい波乱万丈の生涯。

 

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「アンファン・テリブル」を目の当たりにして

 

私は子供の頃、世界バレエフェスティバルで見て彼を知った。

私が今も脳裏に焼き付いて忘れないほど印象に残っているのは、マリー=クロード・ピエトラガラとの「ドン・キホーテ」のパ・ド・ドゥだ。

まるで互いの技を競い合うような二人は「魅せる」ということをよく理解していたし、世界バレエフェスティバルが「バレエのオリンピック」であることの一面を存分に感じたものだ。

当時子供の頃の私に書いてくれたサインも大切に持っている。

ニジンスキーと重なり合う瞬間

 

「SHE DANCES ALONE」(邦題「バラの刻印」)というキーラ・ニジンスキーの出演する映画がある。

キーラはワツラフ・ニジンスキーとロモラ夫人の娘だ。

内容は、天才ダンサー・ニジンスキーの生涯を、彼の実娘キラの視線を通して虚実を折り混ぜて描くダンス映画である。(映画.comより引用)

 

この映画の中でデュポンはニジンスキーの踊ったダンスシーンを踊る。

Youtubeにアップされているものでは、「ポロヴィッツ・ダンス」「薔薇の精」「ジゼル」。

特に「薔薇の精」でキーラがまるで魂を奪われたかのように「それ!」と言っているようなシーンがある。

私もまるでキーラのように、すうっと魅入ってしまう瞬間を感じた。

動くニジンスキーは見たこともないけど、勝手に類似性を感じてパリ・オペラ座で買ったニジンスキーの写真集とこの動画を眺めることを繰り返すこともあった。

様々な人がこれまで触れてきたが、私も「パトリック・デュポンがニジンスキーに最も近かったダンサー」なのではないかと思ってしまう。

▲パリで買ったニジンスキーの写真集。

 

かけがえのない唯一のダンサーがまた一人逝ってしまい、私の幼い頃の思い出も少し色褪せたようで寂しさでいっぱいでたまらない。

 

山岸涼子「牧神の午後」

「神に愛された人間」はこれほどまで普通の人生を歩むことを許されないのかと思わされる。読みやすく、ニジンスキーがディアギレフとロモラの間で揺れ動く人間描写もわかりやすい。他にバランシンのミューズだったマリア・トールチーフを題材にした「黒鳥」他。


「ニジンスキーの手記 完全版」

ニジンスキーの手記。次第に狂っていく様子が綴られている。
完全版は妻・ロモラが亡くなった後に追加となっており、同性愛や娼館の件、ロモラへの不信感にあたる部分がそれだ。
意味不明な言葉もたくさん綴られ、天才の思考は凡人には到底理解できないと思いつつ、時々すごく切なくなる。

 

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