ラストエンペラー 宣統帝溥儀に関する映画やドラマ

随分前からまとめていたのですが、かなり時間がかかってしまいました><

 

最近よくBSやCSで「ラストエンペラー」作品をみる機会がありました。

 

ラストエンペラーとは、愛新覚羅溥儀

大清国第12代皇帝にして、最後の紫禁城の主です。

宣統帝溥儀 wikipediaより

 

1924年に紫禁城を追放となった後、満洲に渡って関東軍の傀儡皇帝に。

その後は第二次世界大戦の影響でソ連軍の捕虜になるなど

後半の人生は戦争も関わるので暗く重たいのですが、

紫禁城から追い出される前までの前半生については、

まさに「清王朝が放つ最期の煌めき」といえます。

 

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ラストエンペラー溥儀の映像作品について

種別 公開年 タイトル 溥儀役 備考
映画 1986 火龍(香港) 梁家辉 日本でも公開。「西太后」のリー・ハンシャンと咸豊帝役の梁家辉が再びタッグを組んだ作品。
「火龍」とは火葬された初めての清朝皇帝だからそう称するのだそうです。
1986 末代皇后(中国) 姜文 婉容を主役にたてた作品。潘虹が主演、姜文が溥儀の実力派の二人が亡国の皇帝夫妻を演じる。
1987 ラスト・エンペラー ジョン・ローン/吴涛 ベルトルッチ監督作品。オスカー受賞
1991 财叔之横扫千军(香港) 史美仪
2011 赤い星の生まれ/建党偉業 (建党伟业)建党伟业(中国) 裘慕远 日本公開済み。辛亥革命から中国共産党設立まで共産党の威信をかけてこれでもかとスターを投入。中国共産党結党90周年記念映画。中華人民共和国建国60周年記念映画。
范冰冰が隆裕太后を演じ、久々に旗袍を着て話題になるなどオールスター総出演。
2011 辛亥革命(中国) 苏晗烨 ジャッキー・チェン監督
电视剧 1981 流氓皇帝(香港) 郑少秋 百度をみるに満洲国時代を背景にした喜劇のようです。
1988 末代皇帝(中国大陆) 张萌(童年)
蔡远航(少年)
陈道明(成年)
朱旭(老年)
当記事で紹介した作品。
1990 满清十三皇朝之危城争霸(香港) 严秋华
2002 非常公民(中国大陆) 黄子华 別名《溥仪跟他的五个女人》
2003 流转的王妃·最后的皇弟(日本) 王伯昭

日本のドラマ「流転の王妃・最後の皇弟」竹野内豊が溥傑、常盤貴子が嵯峨浩を好演。
これをもう一度みたいので再放送待ちです。

2007 李香兰(日本) 王伟华

上戸彩が李香蘭を演じた。

2008 男装的丽人—川岛芳子的生涯(日本) 高嶋政伸

黒木メイサ、真矢みきが川島芳子を演じた。

2010 末代皇妃(中国大陆) 李亚鹏

蒋勤勤が主演・文绣を演じる。婉容・文绣をつれて天津に逃亡しつつも清朝皇帝の座にこだわり続ける日々を描く。

2011 重生(中国大陆) 杨立新

別名《传奇福贵人》

2013 末代皇帝传奇(中国大陆) 余少群/赵文瑄

「蒼穹の昴」の余少群と「武則天伝奇」など国王役や中国版『孤独のグルメ』主演・伍郎 役などで有名な赵文瑄が溥儀を演じた。

 

意外に日本制作のドラマがありますが、

川島芳子溥儀の弟・溥傑の妻(嵯峨美子)

李香蘭など日本とゆかりの深い人物も関わってるからでしょう。

 

この中でも有名なものが、「ラストエンペラー」と「末代皇帝」です

 

最も有名なものはベルトルッチ監督の「ラストエンペラー」ですが、

予算がかけられた大作の割には、現実と即していない部分も多い。

 

これに対して例えば「末代皇帝」は、中国制作ということもあり、

かなり史実に即しています。

 

今回はこの2作品についてまとめます。

 

ラストエンペラー(1987)

最も有名な作品は、アカデミー賞ノミネート9部門すべてを獲った、

ベルトルッチ監督の「ラストエンペラー」です

 

 

 

伊中英仏米合作。主演は尊龙(ジョン・ローン)

 

当時まだ撮影許可が下りた故宮で実際にロケを行っているせいか、

まだ古き良き状態のちょっとボロい故宮がいい味を出してて

清王朝の末期的な退廃感を存分に引き出しています。

 

坂本龍一の音楽も素晴らしい。

 

 

 

 

原作は溥儀の書いた「我が半生」です。

 

 
わが半生―「満州国」皇帝の自伝〈上〉 (ちくま文庫)
わが半生―「満州国」皇帝の自伝〈下〉 (ちくま文庫)

 

 

 

予算もかかっている大作ですが、ツッコミどころがある作品です。

 

溥儀を完全に美化したジョン・ローン

まず溥儀演じるジョン・ローン全然溥儀とは似ても似つかない…。

美形すぎるんですよね。

 

それから人物像が実際の溥儀像とだいぶかけ離れています。

 

物心つかない時から生母と引き離され、

人としてろくな教育を受けなかった特殊な生い立ちがこの映画では表現されていません。

 

 

史実と異なる場面

乳母のアーモはもっと後まで仕えていた

幼少期の溥儀が乳母のアーモと引き離されるシーンがあります。

このアーモですが、おそらく史実では王焦氏という乳母です。

 

実際は王焦氏は通化事件の際に、

婉容を守ろうとして手首を銃弾で飛ばされているようです…。

これはこれで大変ショッキングで悲しい話です。

 

▼このエピソードについては溥傑の子供である福永こせいさんのインタビューで確認できます。

 

 

西太后と初めて会う宮殿がヘン

龍が柱に巻き付いていて変。

死にかけの西太后&まるまんま一匹入った亀のスープ鍋。

 

西太后が「怖い女」という印象を与えたかったのかもしれませんが、

怖いというより魔女みたい…

 

ここのシーンは正直いまいちですね。

 

皇后婉容について

東洋のマタ・ハリと言われた川島芳子と

同性愛の関係であることをほのめかす描写がありますが、

実際はそのような仲ではありません。

 

婉容皇后の不倫相手は男性。

溥儀の側近の李体育というそうです。

(宦官 孫耀庭の著作より)


最後の宦官秘聞―ラストエンペラー溥儀に仕えて

 

日本軍が終始一貫、悪者扱いであること。

婉容の不義の子を日本軍医が薬物を注射して殺害するシーンがありますが、

これも全くの間違いです。

実際は激怒した溥儀の命により生まれてすぐにボイラーに投げ入れ、殺されています

 

婉容が溥儀に妊娠を告げる

一番笑えるのは、食事の時に皇后が皇帝に

「私妊娠したわ。相手は満州族よ。」

といったシーンです。

 

更には溥儀がその子が後継だとか言うシーンが続きますが、

全くもって意味不明です。

 

 

このようによく見ると色々とめちゃくちゃです。

 

それでもラストシーンは映画らしい。

溥儀が少年に、自分が皇帝であったことの証明であるコオロギを見せる場面がありますが、

ノスタルジックで素晴らしい。

 

まるでコオロギが激動の歴史の証人かなと思いきや、

溥儀がいつの間にかふっと消えており、

現実が幻かもわからない感覚に襲われたのも束の間、

画面は現代に戻り、観光客の絶えない騒がしい故宮が映ります。

 

皇帝統治の時代はすでに過去の出来事であり、

人民の時代であることを実感させられます

 

視覚的に美しいのはクライテリオン版「ラストエンペラー」

とにかく視覚的な世界観を重要視するなら、

映像の発色が素晴らしいクライテリオン版の「ラストエンペラー」も必見です

日本語字幕版はないので、北米版のブルーレイを輸入してみるしかないのが残念

 

クライテリオン版はオリジナルのパッケージデザインを採用しています。

クライテリオン版パッケージは黄色い幕=「皇帝や王朝」の象徴ぽくて、

そこから出る未来が描かれているような感じです

 

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「末代皇帝」(1988)

映画「ラストエンペラー」の対抗として挙げるとしたら

同時期に撮影された中国制作・主演:陈道明

ドラマ「末代皇帝」(1988)です。

 

監修に溥傑氏も参加し、全28話である分、

細かいエピソードもたっぷり収められています。

 

この作品も同じく故宮博物院撮影です。

 

日本でもBSテレ東でもかつて放送していたので、

どこかの動画サイトで日本語字幕入りを放送していれば良いのですが、現在は不明です。


ラストエンペラー DVD-BOX

 

幼少期から老年期まで4人で演じる溥儀

幼少期を张萌、少年期を蔡远航(「甄嬛传」槿汐を演じた孙茜のご主人)、

青年期を陈道明老年期を「大地の子」の朱旭が演じています。

 

幼少期の溥儀

ドラマは光緒帝が崩御し、西太后によって強引に

醇親王家の幼子が皇帝に祭り上げられるところから始まります

この西太后役の女優さんがかなりの迫力で怖い…

こうして西太后によって皇帝にされた溥儀は、

斜陽の清王朝の中で、父母とも引き離されて紫禁城で暮らし始めます。

 

退屈で圧迫感のある宮中の中で、善悪の区別がつかない幼い皇帝は

宦官を虫けらのように扱い酷い目に合わせたりしてしまいます。

 

隆裕皇后に自分を母と呼べと言われて嫌がったり

「我要回家(家に帰りたい)」「我是皇上(僕は皇帝だ)」「开门(扉を開けろ)」

と繰り返し叫んでも誰も聞いてくれずに絶望します。

 

孤独な生活を送らざるを得なかった溥儀は親の愛情に飢えたまま、

大人になっていきます。

 

屈折した性格や週刊誌的な情報が書かれています▼


ラストエンペラーの私生活 (幻冬舎新書)

 

 

「末代皇帝」でわかる溥儀とはどんな人か?

何があっても、皇帝の椅子にとにかくこだわります

 

紫禁城を追い出されても皇帝でありたい。

関東軍の誘いにまた皇帝になれるとホイホイ乗ってしまう。

 

皇帝であることへの強烈な執着心を感じます。

 

そして満洲国にも見捨てられ、本当に「退位」をしなければならなくなった時に、

ご先祖様に申し訳ないと跪いたり、涙を流したりするなど、

彼なりに懸命に皇帝という運命を生きようとしたところに胸を打たれます

 

腾讯のコメント欄を見ると、

溥儀に対しての厳しい意見はかなり少なく、

 

西太后によって運命を変えられた被害者

王朝の没落に伴って引き起こされた皇帝の悲劇

彼の人生を思うと涙が止まらない

 

というような言葉が多いように感じられました。

 

演じた陳道明について。

婉容の不倫に対して怒りに震え、背中で悲しみを語る演技は

とても素晴らしかったです

 

陈道明は康熙帝・同治帝・宣統帝

清朝皇帝を何度も演じていますが、

同じ人とは思えないほど異なる人物を演じ分けてくれます。

 

婉容皇后の孤独と破滅を描く

悲惨な人生を送ったのは溥儀だけではありません。

溥儀の正室、婉容皇后も時代に翻弄され悲惨な末路を辿っています。

 

女性に全く興味がない溥儀に相手にされない寂しさから

側近と不倫。子供を産んで溥儀の怒りを買ってから気が触れてしまい、

アヘン中毒で身の回りの支度もできなくなるほどボロボロになる様が描かれています。

 

今も残されている偽満州国時代の写真は、

アヘン中毒で顔色がすぐれないのを無理やり隠すために白塗りしているように思えます。

目も虚ろだし、手と顔の色が全く違う。

Empress Gobele Wan-Rong (04).JPG

引用ーwikipedia婉容

 

かつての姿

引用ー百度百科 郭布罗·婉容

 

婉容は、愛新覚羅浩の回顧録「流転の王妃の昭和史」によると

1946年6月10日あたりに吉林省延吉の獄中で亡くなったとされています。

しかし、通化事件の混乱で遺体が行方不明となりました。

 

溥儀は収容所生活を終えて、婉容の死を聞いても

なんとも思わず、悲しくもなかったのだとか。

 

2006年、清西陵外にある華龍皇家陵園に溥儀と共に

(遺骨がないので)魂だけ共に葬られ、

孝恪愍皇后の諡(おくり名)が送られました。

 

婉容皇后の罗历歌も溥儀に不貞の子供を取り上げられてから

どんどん狂っていく演技が怖いほど鬼気迫っていました。

 

 


流転の王妃の昭和史 (中公文庫)

 

 

清朝の王女に生れて―日中のはざまで (中公文庫BIBLIO)

 

「末代皇帝」のラストシーン

最終話の朱旭演ずる溥儀がいち人民として紫禁城の思い出の地をめぐります。

 

ただ腹が立ったから宦官を打ち据えたあの日から

紫禁城を追い出されるまでの日々が頭の中を駆け巡ります。

 

溥儀は太和殿の玉座の前で、子供たちの質問に答えます。

かつて皇帝の座にあれほど拘った溥儀が言った言葉は

 

「人民当家作主呢」(人民が(この国の)主人である)

 

 

余談:ADDICTIONのラストエンペラー

ADDICTIONが昨年発売した「ラストエンペラー」をモチーフにしたコレクション

「コンパクト アディクション “シノワズリ” Last Emperor」


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ただラストエンペラーをテーマにしただけという理由でパケ買いしましたが、
難しい色が多すぎて上手に使えませんでした><
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